テムジンディレクター、プロデューサーの小柳ちひろが「放送人グランプリ2026」グランプリ大賞を受賞!
贈賞理由について以下のようなコメントをいただきました。
この国で「戦争を伝える」ことは年々難しくなっています。「ウクライナ」「ガザ」「イラン」…まさに世界は戦争の真っ最中なのに、日本の「戦争」とは80年前の「太平洋戦争」のことで、戦場や戦災を体験したリアルな証言者はごくわずかとなりました。小柳ちひろディレクターは映像制作会社テムジン入社後、30代前半からNHK「戦争証言プロジェクト」に参加、「記憶の風化」に抗い、わずかな「戦争体験者」を丹念に探し出し取材を重ねてきました。とりわけ『従軍看護婦激戦地の記録』『女たちのシベリア抑留』といった女性たちにフォーカスした番組はさまざまな賞を受賞、放送界を代表するドキュメンタリーディレクターであり、近年はプロデューサーとしても活躍しています。
今回受賞対象になった『〝戦争未亡人〟と呼ばれて 百歳を超えた妻たちの戦後』は彼女の真骨頂ともいえる作品。56万人いたといわれる【戦没者の妻】の視点から戦後80年を振り返りました。「未亡人たち」の苦難として、「男性の卑猥な視線やハラスメント」を取り上げたり、「遺族年金」の問題を堀り下げるなど多様で複合的な視点は見事でした。特に素晴らしいのは「100歳を超えた戦争未亡人たち」という切り口の鮮やかさ。「戦後80年」を「100歳」が軽々と凌駕してしまう痛快さがありましたし、「100年後も平和であれ!」という希望や祈りさえ感じました。
一方『今はまだ産めません』は「卵子凍結」を経験した6人の女性たちの極めて現代的な群像ドキュメント。30代の女性ディレクター・柳田香帆さん自身の体験から生まれた企画を小柳さんがプロデュースしたものです。柳田さんがナイーブな問題に軽やかな調子で鋭く切り込んでゆくインタビューは、小柳さんに通じるものがあります。かつて老兵士だった老人の表情が、彼女の鋭い問いにぐっと引き締しまり、逆に彼女の一言で固かった表情がゆるみ、柔らかく微笑み、涙するさまは、心に深く刻み込まれています。小柳さんの遺伝子が確実に若い世代にも受け継がれ、膨らんでいることを頼もしく思いました。
ETV特集『〝戦争未亡人〟と呼ばれて 百歳を超えた妻たちの戦後』
https://www.temjin-tv.com/works/2025/08/30/3097/
ETV特集『今はまだ産めません』
https://www.temjin-tv.com/works/2026/01/13/3160/