In regions of Malaysian North Borneo such as the city of Kota Kinabalu, which is otherwise known as a classy tourist destination, illegal slums dot the map. Cobbled together above the waters, the dwellings are home to the “stateless,” people who due to their lack of identifying documents effectively belong to no country. Many fled insurgence in the Philippines, and have lived in North Borneo for decades, relying on the support of NGOs to feed their families. Now, with the government enacting a lockdown in order to contain the coronavirus, their very survival is at risk.

東マレーシアのボルネオ島は、豊かな自然と美しい浜辺をもつ有数のリゾート地。一方、その最大の都市コタキナバルの周辺の島々には、“不法移民”が暮らす無数の海上集落のスラムがある。正式な統計はないが、その数はおよそ２０万人、市の人口の４分の１に達するという。彼らの多くはフィリピン南部の内戦から逃れてここに住み着き、２世・３世も生まれているが、難民として認定されてはいない。そのため“無国籍者”としてここに暮らしている。

2020年3月、新型コロナウィルスの影響で、マレーシア政府は国全体に活動制限令を発令。人々は仕事や日常生活を大きく制限された。国籍を持たない不法移民の暮らしは一層困難になった。現地の取材班は、普段は聞き取りづらい“不法移民”たちの声を聞くため、現地のNGOによる支援活動に同行した。

番組では、知られざる海上スラムの実態や、コロナ禍の中で社会の矛盾を背負って生きることを余儀なくされた、北ボルネオの“無国籍者”たちの過酷な現実を描く。