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2020年10月9日(金)新日本風土記「天草」

大小120の島々からなる熊本・天草諸島。東シナ海、有明海、八代海の3つの海に抱かれ、風土が育まれた。海には、イルカの群れが定住する海域がある。網を使わない素潜り漁のため、漁師との共存が続いてきた。

漁村に教会が佇む﨑津は、細い路地や密集した集落全体が潜伏キリシタンの関連遺産として世界遺産に認定されている。そこで続くのは、異なる宗教が支え合って暮らす、ゆるやかな信仰のかたち。

総大将・天草四郎が率いた日本史上最大の一揆「島原・天草一揆」(通称・島原の乱)。3万7千もの犠牲者を出し、天草の風土は塗り替えられた。荒廃した土地に新たにやって来たのは、九州や四国の他の地域からの移住者たち。新天地に根を下ろした人たちの末裔が、今も暮らしている。

熊本一の漁獲量を誇る港町・牛深で生まれた「牛深ハイヤ節」。北前船や大阪の商船とともに旅をして、「佐渡おけさ」や「阿波踊り」のルーツとなった。ハイヤとは、船を運ぶ「南風(ハエ)」が転じた言葉。牛深ハイヤ節の魂は、女の情。船乗りの身を案じた女たちの情が、いまも息づいている。

牛深高校・郷土芸能部の部員たちは、新型コロナウイルスで祭りやイベントが中止となるなか、ハイヤ節の練習に励む。果たして、その成果を披露する舞台は…?

悲しい歴史を背負いながら、まばゆい陽光の中で明るく歌い踊る、エキゾチックな島々の物語。

 

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