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Asia Insight(日本語版) コロナ危機を支える宅配業・韓国

国土が狭く人口が密集している韓国では、宅配業が独自の発展を遂げた。宅配は24時間、注文があれば海辺でも公園でも出前でき、ガム一個から配達可能。さらに新型コロナ危機の中、全国に張り巡らされた配送網が外出規制に役立ち、新型コロナから国民を救ったのは「医者と宅配業者」と言われるほど、韓国で重要な産業となった。

しかし、宅配業界の成長の裏で、働き手は厳しい労働環境に喘いでいる。過当競争が激化し、利用数が増えても賃金は下がり続け、平均労働時間は1日15時間に上るほど過酷だ。しかも、配達員の大半は個人事業主として契約を請け負っており、業者との契約が打ち切られないよう無理をしてでも与えられた量をこなそうとする。事故が起きても権利が守られず、責任だけ背負わされる弱い立場だ。

経済・社会に大きな変化をもたらした新型コロナウイルス。就業希望者が殺到する韓国の宅配業界は、その負の側面が浮き彫りとなっている現場なのだ。

番組では、需要と雇用が拡大しながらも劣悪な労働環境が問題視される韓国の宅配産業の実態を紹介する。コロナで更に深刻さを増し家庭にも影響が及ぶ姿や、その現状を改善するため努力する配達員たちの切実な思いに迫る。